2020年度JKA補助事業(コロナウイルス感染症流行の影響のため、2021年9月まで事業期間を延長しました。)
地域共生を通しての少子高齢化社会の進展に伴う人材不足等の改善を目指す活動、調査・研究等補助事業
(1)事業の目的
我が国のすべての自治体や自治組織に向けて、国民の最大関心事のひとつといえる「防災」及び国が全国での策定を押し進めている「災害時避難行動要支援者支援計画」の動きを利用した福祉・防災ワークショップを展開し、自治組織と要支援者等を結びつけることで、共生型社会づくりへの道筋を示すためのモデル調査である。本応募事業は、住民間のつながりが希薄になった我が国の地域社会において、「防災」や「要支援者支援」という喫緊の課題を利用し、各地の地域コミュニティをより共生型へと変えていくことに寄与することを企図するものである。
(2)実施内容
①住民組織からの立上げ地区でのワークショップ開催
自治会など「一般樹民組織」側からワークショップや会議などを重ねて共生型のまちづくりを目指す試みを立ち上げようと企図しました。首都圏、中部圏、関西圏でそれぞれ試みましたが、不運なことにコロナ禍による集会自粛や緊急事態宣言の影響を受け、スタートが大きく遅れました。しかし多摩ニュータウンのモデル地区では、「自治会さえ存在しない希薄なニュータウンコミュニティ」に危機感を抱いていたリーダーが存在したことから、当初予定した回数・深度を上回る取り組みが行われました。
商店街の中の高齢者居場所で「住民参加の見守り体制づくり」が話し合われました。(上)
自治会も存在しない地区ゆえ、まずは自治会を作ろうという会議も重ねられました。(下)
②要支援者側からの立上げ地区でのワークショップ
自治会など「一般住民組織」側からの動きとは異なり、子どもや障がい者を抱える親の会などの要支援者団体・グループ側からの立ち上げによって共生型まちづくりを目指す試みを企図しました。こちらに関してもコロナ禍による影響は大きく、感染を恐れる型の存在によってワークショップイベントは相次ぐ延期・中止となりましたが、三重県松阪市・鈴鹿市、広島県福山市で取り組みをスタートさせることができました。
大事なことは、子どもたちに対して「上から目線」で接しないことです。水平目線で対応すれば、子どもたちは心を開いてくれます(上)
子どもたちは作業に集中します。障がいがあっても軽度であれば、必要な作業に取り組めます。(下)
③リーフレットによる全国に向けた記録と成果の報告・広報
今、全国各地で「災害時要支援者支援」や「地域包括ケアシステム補完」のためのコミュニティ強化が喫緊の課題となっています。進め方がわからず迷走・混迷に陥っている地域も少なくないようです。本事業の考え方でもある「防災テーマから入り福祉へと進む」方法はお勧めできると考えています。当法人の進め方をリーフレット(3 補助事業に係わる成果物 を参照ください)にまとめ、全国に発信することとしました。
2 予想される事業実施効果
本事業の実施を通して確認することができた次のような事項を、下に記した①や②に繋げていけるものと考えている。
・共生型コミュニティを求める声はどんな地域にも存在すると思われること
・共生型社会を目指す上で「防災」とを入り口としたまちづくり・コミュニティづくりは有効であると思われること
・2度や3度程度の会合やワークショップ開催では大きな成果は期待できないと思われること
・共生型コミュニティを目指すためには、まず「一般コミュニティ側」から「要支援者側コミュニティ」にアプローチする方が期待できるということ
①モデル地区における事例育て
本事業が全国各地にいい影響をもたらすためには、とりわけエネルギーが注ぎ込まれた多摩ニュータウンにおける事例を今後さらに成長させ、「住民が主体的に参加した体制」で、「防災、見守り福祉、そして今後の課題となる看取り等に向けた地域課題に対応していく」ことが必要である。
②その他の地域における効果
ワークショップの実施を真似る程度では成果は期待できないだろうが、その後に「子育て支援や介護だけでなく看取りまでも見据えた地域共同福祉体制づくり」を見据えることができるのであれば、十分可能性はあると考えている。
しかし、現行システムである地域包括支援センターを軸に考えようとするならば、おそらくそれは成功しない可能性が高い。 地域住民が主体的に参加できる新地域包括ケアシステムを紡ぎ直す、これが共生型地域社会づくりに向けたキーポイントになると考えている。